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LIKE VOL.8 Mirai Seike
自分は何が“好き”なのか。分かっているようで、実は分かっていなかったりする。
“好き”は、どんどん変わっていってもいい。
でも、今何を“好き”なのかは分かっているといい。
自分の“好き”をわかっている人たちが、ジョンブルを着こなしてくれる連載。
第8回は、「STEEP GRADE SHARP CURVES」オーナー兼バイヤーの清家未来さん。

――どんな時間が、“好き”ですか?
家族と過ごす時間です。子どもが3人いて、上から14、10、3歳。上の2人が幼い頃は会社勤めだったので、忙しくて子育てできなかったんです。子どもが寝た後の夜遅くに帰宅して、土日もだいたいイベントが入っていたり。長男には僕が抱っこすると泣かれていた記憶があります。今、3人目は初めて子育てに参加できている感じでとても楽しい。ただ膝に座っているだけで可愛くてたまらないですよね(笑) 働き方を変えて良かったと本当に思います。
――このお店「STEEP GRADE SHARP CURVES」を始めたきっかけを教えて下さい。
2022年にお店を始めました。前職退職後はフリーランスで洋服関係の仕事をしていて青山に事務所を借りていたのですが、コロナでそこには行かなくなったので、家の近所で事務所スペースを探していたんです。その時、長くクリーニング屋が営まれていたこの物件に出会いました。物件を見つけて、半分はお店にしてもいいなぁと思ったんです。最初はギャラリーみたいな感じを想像していて、こんなに商品を置こうとまでは思っていなかったんです。下北沢のカレー屋「ANJALI」、大森のパン屋「BAKEMAN」の店主と3人でお店をやっているのですが、この物件に出会う前に「古着屋やりたいよね〜」と話していたこともあり、一緒に始めることに。出会いは、2人は元々友人で、僕とカレー屋はパパ友なんです。


――どんな“好き”の基準で、お店のセレクトをしていますか?
アパレル、古着、アートブック、フレグランス、作家さんのものなど雑多に扱っています。お店の場所は小田急線・和泉多摩川駅が最寄りということもあってのんびりしたエリアなのですが、取り扱っているのは近所の方のプロダクトが多いんです。売れる売れないが基準ではなく、コミュニケーションが取れるかどうかを大切にしています。例えば、最初見たときにその物がばっちり自分にフィットしなくても、それを作っている人が素敵だと感じれば、一緒に話し合いながら良いものを作っていけると思っているんです。おご近所の方以外にも、例えばマグカップは大学時代の友人が作っているもので、話し合いながらオリジナルマグカップを作ってもらいました。
お店自体は、僕の中では完璧ではないんです。でもそれで良くて、あえて統一感がないようにしています。カオスインボーダー“秩序の中の無秩序”なお店。並べ方や扱い方は、一つ一つ愛情を持つということは基本として、あえて適当な部分を持つという感じです。

――今日着用いただいたTシャツはどこが“好き”でしたか?
Green Dayは高校生の時から聴いていたので、2002年くらいまでよく聴いていました。Tシャツを選ぶことで、その頃の曲を思い出すキッカケになりました。ラジオをよく流しているのですが、最近ラジオでもちょこちょこ流れてきてなんか嬉しいです。僕はシンプルなスタイリングが好きで、基本的にアクセサリーもつけないんです。このTシャツはブラウンのパンツなどを合わせて茶系でまとめてもいいかなと思っていたのですが、黒のつなぎで締めました。

――清家さんがアパレルを“好き”になったキッカケとは?
今もミニバスのチームを運営していて、コーチもやっているのですが、小学校の時からずっとゆるくバスケを続けてきています。スタートはスラムダンク。バスケを始めたことで、バッシュも好きになりました。中学生の頃には自分でバイトして20足くらいバッシュを持っていたんです。僕は地元が愛媛なのですが、唯一ジョーダンを売っている靴屋さんが1軒だけあって、そこで働くことが夢になりました。そこから洋服も好きになっていきましたね。
何かを習うとか通うとかプロセスを経て好きになっていくというよりは、何となく興味があるものがキッカケになって繋がっていくみたいな感じなんですかね。子どもたちにも自分で好きなものを見つけてもらうしかないですよね、何か力になれたらとは思いますけど。

――会社勤めを辞めたことで、生活や感覚に変化はありましたか?
辞めた時は愛媛に帰ろうと思っていたんです。家庭の事情もいろいろあって、先までプランを立てて辞めました。辞めて自営業になり、愛媛にはいつ頃戻って、家族で住む家を買って、と具体的な計画を持って動き始めたのですが、状況が変わったんです。そうしたら、このまま東京に住んでいてもいいよねという話になって。先の計画なんて簡単に崩れるものなんだなと実感しました。それよりも、楽しくいこうと。元々、どこでも楽しもうが基本なのですが、その部分がさらに強くなったというか。
経堂で一人暮らしをしていて、結婚を機に多摩川の近くに引っ越してきたんです。そこからずっと多摩川沿いに住んでいて、今の家は3階から川が見えるのですが、毎日「今日も気持ちいいね」と川チェックをしています。川沿いはやっぱり空気が綺麗。都内から帰宅すると体感するのですが、多分2、3度違います。不定期営業のお店をオープンの時はいつも川の写真を撮ってオープンの告知をInstagramに載せていますし、のんびりゴミを拾いながら散歩しています。そういう時間が持てるようになったことはとても嬉しい。
それに、お店という場を作って良かったことは、いろんな人が来てくれることで思いもよらないことが起こったりするんです。そうやって自然と広がっていく感じはいいですよね。

――今後やってみたいことはありますか?
具体的な目標とかはないんですけど…。FUNagainの高島さんに以前POPUPショップをしてもらった時、クローズドでトークイベントしてもらったのですが、それがすごく面白かったんです。クローズドなので、参加の人がじっくり話すことができていて。情報が多い世の中なので、ここでしかできないこと、そしてこのあたりの人が楽しんでもらえること、を今後やっていきたいなと思っています。何か目的があってクローズドのトークイベントをしたいというより、小さく続けていくことでそれが何かに繋がるのかが見てみたいんです。


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size. S / M / L
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MIRAI SEIKE
プロフィール
セレクトショップでバイヤーを経験したのち、2017年に独立。
現在は東京都狛江市でSTEEP GRADE SHARP CURVESを営む。
STEEP GRADE SHARP CURVES
東京都狛江市猪方4-5-2 白栄舎ビル1F
営業時間 : 不定休(Instagramで確認)
https://sgsc-abc.com
@steepgradesharpcurves_store
Photo : ImaTatsu
Edit & interview : Maki Kakimoto (Lita) @makikakimoto
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