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LIKE VOL.12 Arisa Kamada
自分は何が"好き"なのか。分かっているようで、実は分かっていなかったりする。
"好き"は、どんどん変わっていってもいい。
でも、今何を"好き"なのかは分かっているといい。
自分の"好き"をわかっている人たちが、ジョンブルを着こなしてくれる連載。
第12回は、一般社団法人unisteps共同代表/鎌田安里紗さん。

――どんな時間が、"好き"ですか?
本を読んでいる時間です。
1年前くらい前まではとても忙しく、仕事にまつわる課題図書も抱えていたので、自由に好きな本を読む時間がなかなか持てなかったのですが、最近は仕事と関係あってもなくても好きな本を自由に読んでいます。
自分で本を作ってさらに思うのですが、本を1冊作るってすごい労力なんですよね。例えば著者の方が10年間考え続けてきたことを1冊にまとめてくれている本がありますが、それを買わせていただき、数時間で読ませてもらえてしまうなんて、よろしいんですか?とありがたい。
誰かと会ってお話ししてもその人の全体なんて分からないものですが、1冊として仕上がったものを読ませていただくと、その人の考えをしっかり知ることができてしまう。本を読むことでその人の考えの結晶みたいなものに触れられて、すごくありがたい気持ちになります。知り合いが出版した本を読んで、さらにその人のことを知るということもすごく好きです。


――本を読むのはどんなシチュエーションが"好き"ですか?
最近は土日に本を読むことが多いです。できれば週末は、起きたらスマホなどを見る前にまっさらな状態でまず本を読み始めます。ベッドでそのまま読んだり、起きてお風呂のボタンをまず押して、お風呂が溜まったらそのまま湯船で読書。午前中ずっと湯船で本を読んでいたりします。
――まっさらな状態で読書をすることが"好き"な理由とは?
本を読んでいると、書いてあることに自分が反応して色々なことを考えますよね。平日は、読書の直前の仕事などに引っ張られてしまい、本を読んだ時に出る反応が手近なものになってしまう感じがするんです。自分がまっさらな状態だと、そういえばこんなことも考えていたんだ!など、まっさらだからこその反応が出やすい気がしていて。
朝起きた瞬間のまっさらな脳をどうでもいいものを見ることに使うのはもったいないなぁとふと思ったことがきっかけです。
お風呂に浸かりながら飽きるまでずっと本を読んで、お昼ぐらいにご飯を食べて、そこでようやくスマホを見る。それが1番幸せな休日です。


――本はどうやって選びますか?
面白かったよ、好きだと思うよ、など人からおすすめしてもらった本は100%買います。それ以外は、本屋さんに足を運んで棚を見るのが好きなので、そこでの出会いが多いです。私は新宿紀伊國屋を崇拝しているんです。以前博士論文を書いているときに、かなりニッチな本を今すぐ参照したいという時があったのですが、調べたら新宿紀伊國屋に見つかって。その日に買いに行き、もうここで一生買いますと誓いました(笑)


――本棚にはたくさんの本が並ぶご自宅は、黒がメイン。鎌田さんの"好き"な色とは?
こんなに黒い家に住んでいてなんですが、白です。洋服は白と黒がほとんどで、全身真っ黒が1番多く、落ち着く色は黒。でも、好きな色と聞かれたら白です。全身真っ白の日は気持ちが上がります。ただ、白い服は汚れたら黒く染めて着ているので、結局黒い服ばかり着ている人になってきているのかもしれないですね。
――着用しているつなぎはどこが"好き"でしたか?
つなぎの難しいところは、子どもっぽくなりすぎてしまうところだと思います。でもこのつなぎは、ビブの部分が真四角ではなくシェイプされたデザインになっているので、子どもっぽくならないのが嬉しいポイント。野暮ったくなりづらいシルエットなので、夏はタンクトップやキャミソールに合わせてシンプルに着たいです。
生地が適度に薄く柔らかいので、とても動きやすいのも嬉しい。私は膝を抱えて座る癖があるのでストレッチの効いたパンツを選ぶのですが、このつなぎはスムーズに膝を抱えて読書できました(笑) 座ったり立ったりする作業の時にも向いていそうです。



――自分の"好き"なこと、興味があることなどをどう確立してきたと思いますか?
まず、「ギャルだったのになぜ勉強していたんですか?」と聞かれることが多いのですが、その質問が不思議で。ギャルファッションが好きでも、勉強しても別にいいはずですよね。「役割期待」という言葉を大学生の時に習ったのですが、例えば親が子どもといたら親として振る舞ったり、どうしてもその役割を汲み取って勝手にやってしまうということ。ギャルは勉強嫌いで頭が良くないだろうというような期待がどこかにあるんですよね。その役割期待に応える必要はなく、勉強したいのならすればいいと「役割期待」という言葉を知って改めてしっかり思いました。
昔から知らないことを知ることが好きなんです。それに、ちょっとしたモヤモヤみたいなものが生まれた時、それを流す力が弱めなのかもしれません。ちょっとしたモヤモヤでも、ちゃんとキャッチしてしまうんですよね。素朴な疑問を手放せないでいて、それを解消しようと思うと、色々勉強しなきゃいけなくなるんです。世の中で当たり前と言われていることに対して異議を唱えるには、それなりにインプットしていないと。
私は普通の公立小学校なのですが、制服がある学校でした。親から聞くと、私は学校入学してしばらくは私服で通っていたらしいんです。あまり覚えてはいませんが、それは単純に制服の着心地が嫌だったとかそういう感覚だったと思います。昔から知的探究をすごくしてきたというわけではなく、自分が違和感を感じること、気持ちが悪いこと、それらはちゃんと拒否していいんだという意識が自分の中にあるんだと思います。


――エシカルでサステイナブルなものづくりの大切さについて考え始めたきっかけも、そういった違和感からでしょうか?
高校生から大学生にかけて、販売企画買い付けを経験して、売り場に立ち、ファストファッションの影響をすごく感じました。10代だったので、自分自身もファストファッションを買いますし。そうすると家にいらない服がいっぱいになって…。工場さん、ブランドはひたすら大変、お客さんはたいしていいものが買えない、そういう仕組みの中にいて、何か別のやり方がいいなと思いました。そこから大学、大学院に通いながら個人で発信を続け、7年前に今の一般社団法人unistepsを立ち上げました。
また、ファッションの仕事だけでなく、ギャルモデルの仕事の方では私服コーディネートで着回し企画などの仕事をよくしていたので、撮影のたびに新しい服を買わなきゃいけなかったんです。自分の家にいらない服がいっぱい溢れているという状態になって、違和感を感じていました。これは誰も幸せにならないぞ、と。
たくさん服を持っていて色々なコーディネートをすることが楽しい人はそれでいいと思うのですが、私はものをたくさん持って組み合わせを考えるということをそこまで楽しめるタイプじゃないと気付いたんです。だから、もしもいつも違う服を着ていなきゃいけないと何となく思いこんで、たくさん買っている人がいたら、やめてもいいんだよということはおすすめしたいですね。でも、色々な服を着たい人はもちろんそれを楽しんだらいいと思いますし、人によって適量が違うと思うので。
ものを作るということは大変で、使い捨てるにはもったいなさすぎること。だからこそ、それぞれが本当に欲しいものを選んで必要な適量を持てたらいいなと思っています。
今はツークリックぐらいで結構何でも買えてしまうから、買い物のハードルが低すぎるんです。でも本当は、物を買うということは、すごく技術がいること。自分が気に入ったものを見つけたり、適切なものを選ぶということには能力がいると思うのですが、簡単なことだとみんな勘違いしてしまっている。だから、買い物は難しいということをまず知って、慎重になった方がいいと思うんです。そして、自分が本当に何をどれくらい必要なのか、自分と向き合って考えるという癖と力を養っていってもらえたらいいなと願っています。


右/「わたしの服はどこからきてどこへいくの?」鎌田安里紗/マルティンメンド有加著(晶文社)
左/「服と水」FASHION REVOLUTION JAPAN(運営:一般社団法人unisteps)
"JOHNBULL"
ブリーズオールインワン
lot. JL262P09
col. black / right beige
size. S / M
price ¥30,800 tax in >>BUY
鎌田安里紗|Arisa Kamada
一般社団法人unisteps共同代表理事
2009年より、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。2020年に一般社団法人unistepsを共同設立。企業・行政・デザイナー・生活者など、多様なステークホルダーと共にファッション産業におけるサステナビリティに関する取り組みを推進する。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。著書に『わたしの服はどこからきてどこへいくの?──服と人とのサステナブルな関係を考える』(晶文社)。
Photo : Yuri Iwatsuki
Edit & interview : Maki Kakimoto (Lita) @makikakimoto
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